Max Falcon-8 で入門する自作キーボード
Max Falcon-8 で入門する自作キーボード
はじめに
この記事は「自作キーボードアドベントカレンダー」14日目の記事になります。 13日目の記事は @void_keys さんのでかすぎて邪魔すぎるキーキャップ作り入門でした。
さて、本稿ですが、自作キーボードに興味をもった筆者が入門のための初めての自作キーボードとして Max Falcon-8 の DIY キットを購入し、組み立ててみたという内容でお送りします。 このアドベントカレンダーはガチ勢が多すぎるのでビビリちらしていますが、こうゆうライトな記事もあっていいですよね?
なぜ自作キーボード?
あんまりエモい話とか、タイピングによって体にかかる負担を減らしたいとかの現実的な話はありません。 いつだったかのコミケで @pekaso さんがサークルスペースで自作キーボードを展示されていたのを見たのがきっかけだったと思います。 そのとき初めて「キーボードは自作できるもの」という認識が自分の中で出来上がりました。 そしてのちに氏の同人誌 BYOK1 と BYOK2 と手に入れて読んでるうちに、すっかりその気になってしまっていました。
あともう一つのきっかけが、planck キーボードの存在を知ったことです。 それまで使っていた HHKB よりさらに小さいフットプリントと、そして全面的に直行した配列に刺されました。 それが「どうやら自前で組み立てなくてはならないらしい」とわかってからは、気づけば reddit に張り付いたり massdrop や AliExpress をあさるオッサンが一人出来上がっていました。
気持ちになったのはいいけれど
しかし、自分といえば元々ソフトウェアを書いてきただけの人間で、ハードウェアの事などさっぱりわかりません。 PCB?空中配線?ダイオード?マイコン?よくわからない事だらけですし、はんだ付けなんかは中学生の頃に授業でやって以来です。 一体どこから初めていいのかすら分かりません。 どうやっていけば良いのでしょうか?
これなら自分にも出来そう
そこで自分が目を付けたのが、いろいろ探しているうちに Massdrop で見かけた Max Falcon-8 という、8キーの小さなマクロキーボードの DIY キットでした。 少し前置きが長くなりましたが、これが今回つくってみたキーボードになります。
これなら自分にも手が手が出そうだ、というのが第一印象でした。 その理由を箇条書きで述べます。 そしてこれが、超初心者向け入門ルートの一つとして小さなキーボードの組み立てキットを自分が推す理由でもあります。
- 全ての部品がパッケージになっている
- 部品点数が少なくて組み立ての難易度が低い
- 組み立て方を紹介する動画マニュアルがある
- 値段が手頃である(何もないところから道具もも全部そろえて10000円で済む)
- 必要な工具も特殊なものはない
自作キーボードにはいくつか種類があり、完全自作、既存のキーボードのリメイク、DIYキットの組み立て、などがあります。 本来の意味でいえば「完全自作」こそが自作キーボードなのでしょうが、わたしのような人がいきなりチャレンジするには無理があります。 これで自作と名乗っていいかどうかはさておき、DIY キットから始めるのが手をつけやすいでしょう。
始まる前に全てが終わる
さて、というわけで Massdrop 経由で入手することになったわけですが、これがどういうことか組み立て済みのものが送られてきました。 英語に自信はありませんが、どう見てもこれは DIY キットとしての説明なのでは、ということで結局サポートにメールで問い合わせてみたところ、次のようになりました。
- もう在庫もってないから代替品は送れません
- 返金はします
- 返品は必要ありません
なんだか得したのだか損したのだかよく分かりませんが、手元には完成品の Max Falcon-8 だけが残る結果となりました。 しかしこれでは話しが始まりません。 このアドベントカレンダーに参加することに決めて、そのためにネタとした仕込んだつもりでもいたので、これでは台無しというやつです、困ったものです。
改めて本家から注文してみる
幸いにして、発想に時間がかかることなどを考慮してもまだ十分な時間があったので、今度は販売元に直接オーダーすることにしました。 こちらは DIY キットと組み立て済み(Preassembled)がきっちり別れており、罠となっているので注意しましょう。
配達までは最大で二週間前後かかります。 追加の料金を支払うことで早く配達されるようになるというオプションも存在しますが、今回は時間的な余裕がまだあったため、ゆっくり待つことにしました。
必要な道具を揃える
到着を待つ間、いろいろ調べて道具を準備します。 今回調達したのは次のアイテムたちです。
- はんだごて(20W 程度で電子工作向けと書かれたもの)
- はんだごて台(クリーニング用のスポンジ付き)
- はんだ(電子工作向けと書かれた物)
- ニッパー(金属線の切断に使えるもの)
- テスター
細かい値段は忘れましたが、これを書きながら調べたところ全ての道具を揃えても 5000 円くらいで済むのではないでしょうか。 ただこれは、わたしが本格的な道具の選び方を知らないので、安価に済ます方に倒した結果でもあります。 とくにはんだごてに関しては、こて先が錐状ではなく斜めに切り落としたような平面になっていて、なおかつ温度調整の機能がついたものが良いそうです(その分、値段も上がります)。 ニッパーに至っては 100 均で購入しましたが、とりあえずこれで十分です。 テスターについては、部品の検査用(導通チェック)などのためにあると良いときき、とりあえず買ってみましたが、無くても大丈夫だとは思います。
組み立て
キットと道具がそろったら、あとは組み立てです。といっても、先に述べたとおり組み立てのマニュアル動画があるうえ、ただそろった部品を組み立てるだけなので苦労することはないと思います。それでいて雰囲気は十分に味わえますし、物足りないと思ったのであればもっと高度なキットや完全自作の方面に進んでいけるでしょう。
おおざっぱな流れを箇条書きにすると次のような感じです。 動画にしても 10 分に満たない長さですし、実際に組み立ててみても1時間もかかりませんでした。
- スペーサーネジをナットでとめる(* 4、工具を使わず手締めでOK)
- PCB をケースにセットする
- ケースとスペーサーをネジ止めする(* 4)
- 樹脂製の足を付ける(*4)
- キースイッチをケースに取り付ける
- キースイッチのはんだ付け
- LED のはんだ付け(アノード・カソードの向きに注意、余った足ははんだ付けのあとにニッパーで切り落とす)
- キーキャップを装着する
いくつか組んでみたときに感じたポイントについて書きます。
まず樹脂製の足を付けるタイミングですが、これは最後でも良いと思います。 もしコテ先が触れたりすると損傷するのではないか、と思い自分ははんだ付け前には装着しないようにしました。
はんだ付けはキースイッチ側を下にして置く形で行いますが、このとき若干不安定です。 そこまで力をいれる作業ではないので問題はないと思いますが、なれないうちはむやみに力を入れないように注意した方が良いでしょう。
LED の取り付けについて。 なんといってもハンダ付する部分が狭い上、キースイッチと違い筐体を通して固定されていないので、掴んでないとするりと抜け落ちます。 動画では器用にこなしていますが、なかなか難しいです。 このやり方は問題があるかもしれませんが、LED を通したあとにハの字にピンを曲げ、仮止めするような形にしてはんだ付けしました。 マスキングテーブなどで固定しながらやるのが良さそうですが、今回はその用意ができていませんでした。
終わりに
というわけで、Max Falcon-8 で入門する自作キーボードをお送りしました。最後まで読んでいただきありがとうございます。
とりあえずあと積み PCB として JJ40 と Gherkin があります。 これを書いている最中に見つけた GlenPickle/Chimera もかなり気になります。 今後はこのへんを作っていくのと、完全自作を目指してケースや基盤を作るための知識・技術を身につけていきたいですね。
12月15日は ntoof さんの記事になります。
このブログポストは Apple Wireless Keyboard (JIS) MC184J/A を使い書かれました。早く実用レベルのキーボードを作りたいですね。